山田会計事務所だより
1.インターネットに下記のような記事が載っていました。
少し前に公表された国税庁の「平成27年分相続税の申告実績」によると、相続税額のある被相続人の数は約103,000人で対前年比では約47,000人増加した。これは、27年中に死亡した人(約129万人)の約8% (課税割合)に相当し、前年の課税割合が4.4%なのでほぼ倍増の結果となった。 相続税申告業務を受任する税理士事務所にとっての関心事は、課税割合件数よりも相続税0円の申告数も加えた申告件数の動向であろう。同資料によると、平成27年分の相続税0円の申告の被相続人数は約30,000人で、課税割合件数を合算した申告件数は133,000件となり死亡数の10.3%となった。 ざっくりで言えば死亡数100人に対し10人が申告対象となり内2人が相続税0円の申告である。この数値は全国平均値であり、大都市圏や地方では申告件数も当然異なってくる。主な国税局発表の資料では(死亡数100人に対し)東京では、17.6人 名古屋では、13.7人 大阪では10.4人となっている。 相続税申告作業を全くの素人の方が自身で完成させることはまず無理であろう。となると専門家に依頼しなければならなくなるが、税額0円でも申告手数料が数十万円は必要となれば、理解に苦しむことになるのではないか。一方、専門家の側も相続税額0円の申告作業も通常と変わらず、0円だから工数削減とはならないので利に合わない事情もある。インターネットを使って全国一律料金で「相続税額0円申告は○十万円」と謳っている税理士事務所もあるようだ。 相続税申告が必要な人は死亡者の5%といった話は昔の世界で、今は死亡者の1割になった。大都市では1〜2割になる。特例を使って相続税額0円となる「迷える申告者」をどう迎え入れるかも、税理士事務所によって対応が異なってくるのであろう。
2.税理士事務所も税務署も困っている状況
当事務所でも、相続税の基礎控除が下がった年(平成27年)から約3年、相続税の申告件数が約3倍、年間5〜6件になっています、以前は年間1〜2件でした。
相続税の申告のうち20%ぐらいは、小規模宅地等の特例を使って申告を期限内に行えば、相続税はかからないこともあります。
相続の申告の依頼は初対面の方も多く、色々な家庭事情、状況をお聞きするだけで時間がかかります。
申告書を税務署に持っていくと、資産税課の課長さんからは申告について税理士さんの協力をお願いしたいと、逢うたびごとに頼まれます。
相続税の場合納税者の財産の把握が非常に難しく、有利な税金計算方法の選択は税務署ではなく相続人や税理士の判断になり、また納税額も多額になる場合も多いので税務署も対応に困っているのが現状です。
いつもお世話になっております。今月号の事務所だよりをお届けしますので、ご査収下さいますようお願い申し上げます。